伊国

の大学

を卒業するのはかなり難儀である。とりわけ医学とか薬学とか数学とか物理とか工学とか理系の学生は大変だ。友人Mは生物学部の学生だが、たとえば「免疫学」という1科目だけでも、その試験範囲はハリーポッター全巻分ぐらいある。それを覚えるだけでなく、試…

国有財産を競売にかける国

国が持っている歴史的-芸術的価値のある建築物を「競売にかけて貸す」などという話を聞くと、伊国経済は本当に崖っぷちにあるのだなぁとシミジミする。最初はなんと売っぱらってしまおうと考えていたらしいが、さすがに国有財産や文化財指定の建築物となれば…

Roberto Savianoの帰還

ロベルト・サヴィアーノは、昨年、ナポリのマフィア・カモッラの内幕を暴いた著書「Gomorra」を発表した。当然ながら書かれたほうが黙っているはずはなく、発売後まもなく彼は「ベストセラー作家」と「脅しのターゲット」というふたつの身分を得るに至る。政…

の墓地

心地よい秋日和に誘われ、趣味と実益を兼ねて墓地へ逝ってきました。ミラノ市内にあるCimitero Monumentale--直訳すると「記念墓地」--は、建築家カルロ・マチャキーニがコンペに勝ってデザインし、1866年、あっち側へ逝った人のみという限定的入居がスター…

怒る

前にも似たようなことを書いているが、伊人を相手に怒るのはむつかしい。ヒトは怒ったときにいろいろな態度に出る。それでも大枠では、顕われかたはみっつぐらいかと。 1.黙って怒りの波動をジトと流す 2.冷静に自分の正当性を主張する 3.逆上してわめくキレ…

モードの街とは言うけれど

仕事明け。先日の話題がすでに古くなってしまったので、見なかったことにして次へ進む。地球は望まずともグングンまわつているのだ。 伊人は(とくにミラノの?)人が身につけているものをかなりよく見ている。見ていないような顔をしてしっかりチェックして…

の祟りでしょうか

ひどい風邪をひいていました。普段は「やばいつかまった」とおもった時点で瞬殺するのですが、今回は愛されてやまず。鼻から水をすって口から出すという最終兵器までつかってしまつた。聞くとバッチイけど効きますよこれは。 そんなここ数日、友達は新聞と本…

ツミノイシキ

と書くとまるで芸名のようであるが「罪の意識」である。先日、ロシアの作家ボリス・アクーニンの「リヴァイアサン号殺人事件」の邦訳版を読んでいたら、こんな下りが出てきた。「人々の行動のブレーキとなる/を制御するのは、欧米人の場合は罪の意識、ニポン…

夏らしい休日

国全体がすでに夏休み気分に入っているココ伊国で、わたしもようやく夏気分を味わうことができました。ミラノからスイス方面に60キロほど行ったところにコモ湖という湖があります。その湖をとりまく山のてっぺん近くに友人A宅の別荘があり、といっても別荘に…

ハリモグラという生きものを

見た。数日前の真夜中、ミラノの町外れの飲みどころへ向かう途中、そこは車を停めた道路から大きな野っ原を突っ切って辿り着かねばならぬのだが、その野っ原をトコトコと。ハリモグラが歩いていた。 そのナリはおそろしくまぬけだ。うつむいているので顔は見…

ばぼ、ばぼを観る

ここまでの30数年を振り返って、自らわざわざチケットを買って観戦したスポーツはみっつしかない。サッカー、F1、バリボー(注:バレーボール)。そのうち、現在でも「TV放映時間に合わせて酒を切り上げてでも帰る」のはバリボーしかない。そんなばぼが、久…

のアモーレ

1995年から2005年の10年間で、伊国の離婚率は増加すること74%、別居率は54%の上昇。結婚の耐久年数平均は14年間。そんな記事が先日の各紙に載った。世界的にこれらの値は上昇しているのだろうが、カトリックの本家でもまたこれが現状だ。こちらでは離婚す…

○○につける薬はない

言葉と動作という不完全な道具を使ってコミュニケーションをするしかない以上、こちらの意図が的確に伝わることなどないし、あちらの意図を完璧に捉えることなど不可能だ。さらに言えば、その「こちらの意図」や「あちらの意図」とて胸の内にあるモゴモゴし…

6月だというのに

これ以上なにを脱げばよいのかワカランほど暑い。 3日間の仕事が明けて風呂に入ってしまつた。 修行に近い。

インタビューの鉄則

ニポンで物書きをしている間、思えば随分とたくさんの方にインタビューをさせていただいた。思えば当初は録音を聞き直して自分で絶叫するぐらい下手だった。それから数をこなして、決して上手になったとは言わない。けれども、上手なインタビュアーたるため…

の"家族"

いわゆるいっぱしの大人で(定義はばっくりしているがまぁ)、とりたてて用もなく、20年来の幼な友達(たち)と未だに週1回は必ず会うという人がニポンにはどのぐらいいるだろうか。職場の同僚ではない特定の友人(たち)と、週に3〜4度は顔をあわせる-共…

の野菜

食い意地がはった家で育ったため、わたしは「おいしいもの好き」である。グルメというのではない。食道楽などという気取ったものでもない。ただ、そのときどきに食べたいものを(かなり)真剣に考え、それがまずいと気が腐る。というわけで仄かな自信をもっ…

子供の本の見本市-ボローニャ

くたびれた身体に鞭を打ち、ボローニャまで往復してきた。年に一度、わたしにとっては恒例となったこの見本市だが、今年は見るべきものが本当に少なく、ニポンへ持っていきたいと思った本はたったの2冊。冬の時代が続く伊国出版業界とはいえ、こんなに寂し…

ミラノ・サローネ

明日から世界最大-級のインテリアとプロダクト・デザインの見本市なるものがはじまる。わたしはこの「最大級」の「級」をみるといつも「苦肉の策」ということばを思い出してフホホと嗤ってしまう。 さておき。明日から怒濤の6日間。ブログを書いている余力…

を思い出すとき

バスに乗り継いで郊外へ出た。ミラノは小さな街ゆえ、20分もバスに乗れば風景が変わる。町中ではないが田舎でもない。賑わってはいないが寂れてもいない。「郊外」というのは「都市の周辺」のこと、ひどくばっくりとした境界-帯なわけで、その風情を言葉にす…

的とは?

昨日の文末に「伊国的なもの」と書いてしまったけれども、はてさて「伊国的」「ニポン的」「伊人らしい」「ニポン人らしい」というのは実は「なん」なのか。最近よくそれを考える。 伊人だろうがニポン人だろうが、当然ひとりひとり個体差がある。けれどもそ…

Giovanni Pascoli

伊国語はそのリズムがいい。名詞や形容詞の語尾が、その語の「性別」と「単数か複数か」によって変化することもあり、韻を踏みやすい、無意識でもつい韻を踏む言語だと思う。それを意図的に配した詩は、だから音的にとてもうつくしい。 某友人からのメールに…

耐える-吐き出す-流す

飲み過ぎたときの話ではない。 祖母の証言によれば、かなり幼い頃のわたしは、何かつらいことがあっても耐える子供だったという。口に出さず、タラランと涙を流しながら耐える。そんな子供が育ち、育ってからも、本当にしんどいときにもごくごく限られた身内…

Duomo-どうも

ベタな洒落から入ったが、久しぶりに私的にミラノのDuomo(大聖堂)へ入ってみた。本当に何年ぶりだろう。仕事で行くことはあっても「ひとりぶらりと」中まで入るのは実に3年ぶりぐらいかもしれない。ミラノにはDuomoぐらいしか見るところがない。しかし、…

でエイゴ

ダブリンに滞在してから2年がたち、頭はすっかりデフォルトに戻り。エイゴを再度やらなければいけない、という切実な思いはかつてからあったのだが、始めるきっかけがないままにだらだらときた。して、始めなければいけないきっかけが訪れて焦っているわた…

数少ないMacユーザーさんへ

新しいMacBookをようやく始動させた。移項アシスタントというのは使えるということがわかった。しかし。要らぬものまで移項してしまった。どなたかclassic関係のものをすべて、つまりosも含めてすべて、アンインストールする方法を知りませんか。コメントな…

この所有欲ってばさ

なにかとても大事なものがあったり、誰かとても大事なひとがいるとき、それを「ひとりじめしたい」という想いがふと心をよぎる、長く生きてれば誰しも、一度や二度はそういうこともあるんじゃなかろうか。ただ、長く生きてれば誰しも、それがいかにバカバカ…

ローマより戻り...

愛してやまないローマであるが、ここでは仕事はできないと今回おもった。ここでの「仕事」とは、ニポン人と伊人の間にたって何かをすることを限定的に指す。 ローマの人は、ミラノの人に比べておしゃべりだ。それがすべての理由である。時間が限りなくあり、…

人がひとり叫ぶとき

思い出したくないことを思い出してしまって、髪を洗いながら、道を歩きながら、ご飯を作りながら、ベッドでうとうとしながら、思わず「うぎゃー」とか「きゃあああ」とか叫んでしまうこと。おそらく私だけでなく、おそらく全人類が共有する経験だと思うのだ…

よ何処へ...

中道右派を僅差で敗って中道左派が政権をとってから281日、1年を待たずしてプローディ首相の退陣が決まった。昨日、執行部の打ち出した外交政策が上院を通らず、直後に首相は辞意を表明。アフガンの真の平和を目指して、また伊国が他のEU諸国から孤立しない…