国有財産を競売にかける国

国が持っている歴史的-芸術的価値のある建築物を「競売にかけて貸す」などという話を聞くと、伊国経済は本当に崖っぷちにあるのだなぁとシミジミする。最初はなんと売っぱらってしまおうと考えていたらしいが、さすがに国有財産や文化財指定の建築物となれば、さまざまな制約を背にしょっており、「貸す」に落ち着いたのだという。


2日前に始まった競売は、まず、フィレンツェから4kmのところにある、14世紀すなわちルネサンス期に造られた Villa Tolomei が対象で、競売は「7万4000ユーロ/1年」からスタート、10人前後の国内外の個人が落札に名乗りをあげたという。世界の新聞もこの事態を大きく取り上げ、ウォール・ストリート・ジャーナルは「イタリア、自国のルネサンスを賃貸に」という見出しをつけたとか。


いくら使っていない建物だからとはいえ、この国はその長い歴史で食っているような国なのに。それを切り売りするということは、まさにその身を削るに同じ。ほかにまずできることはないのでせうか、ないのであれば崖っぷちでのこの身の処し方は、ある意味あっぱれ見習うべきところがあるかもしれないが、ほかにできることがあるのなら、ただのアホだらう。