ローマより戻り...

愛してやまないローマであるが、ここでは仕事はできないと今回おもった。ここでの「仕事」とは、ニポン人と伊人の間にたって何かをすることを限定的に指す。


ローマの人は、ミラノの人に比べておしゃべりだ。それがすべての理由である。時間が限りなくあり、誰も待たせていないのならおしゃべりも愉しい。しかし、時間ギリギリで動かなければいけないような状況で、大事なオキャクサマが待っていらっしゃるときにやられると、端からライフルで撃ちたくなる。


ピザ屋のカウンターで「このアンチョビのピザをちょうだい」と客が言ったらば、アンチョビのピザを「ス」と出してくれればよい。それがピザ屋の仕事である。そのアンチョビピザの製法とか、その店のピザ釜の歴史とか、お嬢さんかわいいねとか、どこから来たのかとか、それよりもこっちのほうがおいしいとか、ソースが服にはねると取れないから気をつけろとか...


「ソンナコタ.ドーデモイイカラ.トットト.ソコノピザヲ.スパットキッテ.オヨコシ」。


この5日間、武器を携帯していなくて本当によかった。ただ、こういうおしゃべりはミラノにもいる。しかし、こちらが「今は急いでるからごめんね早くしてね」と1回言えば、大抵の人はわかってくれる。ローマの場合はこれが2度言おうが3度言おうが凄もうが怒ろうが「まったく動じない」のである。憧れのローマであるが、仕事をしながら、殺人者にならずに生きて逝くことは、わたしにはできないかもしれないなぁ。