読書

Gomorra

ニポンでは、マフィアといえばシチリア産だと思っているひとが多いかもしれないが、シチリアのそれは「コザ・ノストラ」、カラブリアのそれは「ンドランゲタ」、ナポリのそれは「カモッラ」と呼び名が違い、組織もやってることもまったく別物だ。この本は、…

重力ピエロ

本を仕入れて南よりかえってきた。むふ。外に出ないと決めた肝臓回復週間にはもってこいである。伊坂幸太郎は欲張りだ。軽めのミステリー好きも、泣ける小説好きも、ちょっとの教養好きも、おしゃれな会話好きも、みんな取り込むような小説を書く。んで、お…

バルタザールの遍歴

途中、海外小説の翻訳かと思って、3回も著者プロフィールを読み直してしまった。文章が下手だからではない(注:必ずしも巷の翻訳文章が下手という意味ではないw)。その逆。1900年代初頭の欧州を舞台にしたその描写が、あまりに自然だからだ。著者はこの小…

オーデュボンの祈り

朋遠方より来る。書とともに。大きく謝々。28日、前項の理由で午後に目覚め、どろどろと本を読んで1日が終わる。 脳の浅い部分で書かれたような軽めのファンタジーが乱発されている昨今だが、これはすてきです。現実の世界ではおよそありえないことがおきた…

Q〜途中経過

日常生活で200%使わない単語を辞書でひきひきするのは疲れる。ひごろの速読が祟って、読むのに時間がかかると、そのストレスは並でなく。ヴィッテンベルクの大学で神学を教えていたマルティン・ルターが、『95か条の論題』の撤回を求める審理会に呼び出され…

Q

購入。友人A-2に勧められ、友人Aに「まだ読んでなかったなんて...」と鼻先で笑われた代物。WU MINGというプロジェクト名で、4名の伊人著者が共著している小説という変わり種だが、先述の通り、周囲の本好きが口を揃えておもしろいという。しかし。これは大…

邪魅の雫

読了。「世界」と「社会」と「世間」のお話。うん。よいんだけど。後半、なんだか2時間ドラマのオチぽくないですか。ストーリーについての云々は置いても、前作オンモラキノキズ以降、作品から「昭和30年代の香り」がしなくなったように思う。それがまず残…

裁判長!ここは懲役4年でどうすか

友人Tより借りもの。2年間に渡る裁判傍聴記でネタはすごくおもしろいのだが、またすごく売れているみたいだが、プロのエッセイストとしての文章力はイマヒトツという気が。までもネタがこれだけコアならそれでもよいのかも。 北尾トロ著/文春文庫/2006年…

オール讀物

1. 求めていらっしゃるのは、この人ではないでしょうか。 2. コーナーからの弧が白い光をよぎり、尾を曵いていく。 3. 「旅うかれ」という言葉があるかどうかは知りませんが、昨今の者たちの旅好きときたら、尋常ではございません。 4. 「あたしにまた演らな…

邪魅の雫

京極夏彦、もうすぐ新刊でますね。「オンモラキノキズ」はガックリだったが、もうここは何も考えずにハイ、予約。しかし読むのは次のニポン帰国時まで待たねばならん...だから読んだ人も当ブログにはコメント禁止です。よろひく。 ASIN:4061824384

L'italia contemporanea 1943-1998

第二次世界大戦時、独国と伊国とニポンはつるんでいた。ここまでは、歴史の勉強をしたことがある人ならおそらく誰でもしっている。当時の伊国ではムッソリーニという世間で言うところのファシストが政権をとっていた。これも、世界史を勉強したことがある人…

蛍川・泥の川

宮本輝さんというひとは、あらゆることに対してとても優しい視線をもった懐の深い人なのだろうなぁと、彼の著作を読むたびに勝手に想像する。ショッキングなエピソードとか奇をてらった描写とか計算高くズラした視点とかで瞬間芸的に人目をひこうとする制作…

腐りゆく天使

これは、すごかった。なんかこうあらゆる意味で。これまで同著者のものは「陰陽師」の小説とマンガしか読んだことがなかったのだが、深く反省、して読後に思わず岩波の萩原朔太郎詩集をAmazon購入してしまつたw。 腐りゆく天使 夢枕獏著/文藝春秋/2000年/…

村上春樹

村上春樹ぎらいである。といっても初期の頃のものを何冊か読んで嫌いになってしまったので、実は「あんまり村上春樹を知らない村上春樹ぎらい」である。そんな自分を反省して何年かぶりに(これまた入手できたものを)手に取ってみた。でも、風が頬をなでる…

梨木香歩

本当は、ここのところ凄いペースでニポン語の本を読んでいる。要は怠けているわけだ。 Contractio氏のブログで、梨木香歩という作家の存在を知った。Contractio氏の読んだ本が備忘録的に死ぬほど掲載されていながら、そこに(マンガ以外の)フィクションは皆…

李歐

APPLEのibookの充電池が「燃えた」ちうニュースを巨匠に聞くまで知らず、慌てて調べたらばわたしのもリコール対象であった。ニポンからは伊国までは送ってくれないみたいなので、仕方なく伊語のサイトで交換申請をしたのだが...ちゃんと送ってくれるのか...…

魔女の1ダース -正義と常識に冷や水を浴びせる13章-

気を取り直して本の紹介ひとつ。5月に亡くなった(惜しい人を亡くしました)ロシア語通訳の大御所、米原万里のエッセイだ。幼少時代をプラハで過ごし、ロシア語で全教育が行われている当地の学校に通った彼女は、長じてからは同時通訳として活躍。ゴルビー…

半島を出よ

家中の空気が もあ とした日曜。外に出たらきっとしんでしまう。週末は生産的なことはしたくない。となったらやることは限られていて「読む」か「飲む」しかない。伊語の本を読み始めたら寝てしまい、大事な友人が死んでしまう夢をみてしまい、うなされて目…

La Banda Bellini

La Banda Bellini Marco Philopat著/Shake版/2002年/12ユーロ 借りもの。実話の聞き語りをベースにしたフィクションで、1970年代のミラノが舞台。このところ伊小説ではハズしまくりだったがこれは当たり。意図的に壊れた文体がすてきです。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇…

IL BAR SOTTO IL MARE

暑いと本が読めない。読むと「寝てしまう」のだ。読むだけがとりえの私としたことが...。というわけで軽めのを1冊。海底にバールがあって、そこに集まった人々(や人ならぬモノ)がお話を語って聞かせる...という設定の上になりたっているのだが、その第一…

Ti Lascio il Meglio di Me

読了。著者はベネツィア近くのヴィチェンツァという街に生まれた現在33歳の伊男。これまで3冊の小説を発表していて、そこからパタリと著作が途絶え、もう作家廃業したんではないかと思っていたところに新刊が出た。先日18日、ミラノのブエノスアイレス通り…

5分後の世界

ニポン語の本がよみたい。よみたい。よみたい。仕方ないので友人M宅から盗んだ。グロな戦闘シーンを、そゆのはとてもとても苦手なくせに、つい普段の倍の時間をかけて舐めるように読んでしまつた。ナパーム弾とかはらわたとかの夢をみそうだ。小説自体もそれ…

City

3年前に友人に借りて読んだのだが、本屋で5ユーロで叩き売りされていたので購入-再読-読了。著者アレッサンドロ・バリッコは、伊国現代文学を代表する作家で邦訳まで出ているけれども、わたしにとっては「読後のコメントがとても難しい」作家だ。 文章はと…

ハーリーポーター

読了。伊時間3月3日未明。3日で580ページを駆け抜けてしまつた。おお、おもしろければこのペースで伊本も読めるのだ。わたしのなかではこの巻は「炎のゴブレット」と並んでトップ。シリーズ「6冊目」がこれだけおもしろいって...作者こそきっと魔女であ…

Harry Potter e il principe mezzosangue

ハリーポッターが止まらない。お家から出られない。あーん。水がない。誰か買うてきて。 伊語版でこのシーリズを読んだのは初めてなのだけれど(英語版を途中で投げ出したへなちょこなわたしw)、Beatrice Masiniの伊訳がすごくよい。彼女は自身も作家で、児…

理由

構成力には感服するが「人体解剖図」とか「裁判記録」とか「すごくめんどくさい料理のレシピ」を読んだような読後感。 「理由」 宮部みゆき著/新潮文庫/900円/2004年/ISBN:4101369232

陰翳礼讃

中学校で、いわゆるニポンの純文(という語彙も今になってみるとよくわからんが)なるものを読め読め言われた。だから読んだ。夏目さんとか川端さんとか森さんとか谷崎さんとか武者小路さんとか太宰さんとか三島さんとか芥川さんとか...。ちーともおもしろく…

TRILOGIA DELLA CITTA' DI K.

100ページぐらい残してずっと放っておかれていた本を読み終わった。ニポン語で出ているから何も伊国語で読むこたなかったんだが。借りたから成り行きで。まあ。ニポンでも十数年前に話題になりました。アゴタ・クリストフ。ハンガリー人。今読んでもすごくお…

なのか?

おしごとばかりしていたから今週末はなにもしないと決めて「陰陽師いっき読み」に走る。9月頭に入手してからこれで二度目、なのだが。12巻は本当にもうわけがわからない。13巻はさらにわからないらしいから早く読まねば。次に帰国する友人は...誰だ? 途中…

エッセイ2本

映画を観ていて「鶏肉」を食べるシーンが出てくると、決まって鶏肉が食べたくなる。なぜか決まって鶏肉で、なぜか鶏肉だけにそそられるのだ。例をあげよう。「ロード・オブ・ザ・リング」のあれは確か「3」で、ゴンドールの王様が息子の出征時に、ひとり鶏…