City

3年前に友人に借りて読んだのだが、本屋で5ユーロで叩き売りされていたので購入-再読-読了。著者アレッサンドロ・バリッコは、伊国現代文学を代表する作家で邦訳まで出ているけれども、わたしにとっては「読後のコメントがとても難しい」作家だ。


文章はとても素敵なのだけれども、全体の構成も個々のエピソードもとても素敵なのだけれども、いかんせん彼のインテリぶりがときどきハナにつく。そして何より、そのインテリジェンスを登場人物にそのまま「語らせてしまう」ところが気に入らない。フィクション(小説だけでなく映画やドラマも含め)の中で、某かのイデアが長ゼリフをもってダイレクトに語られると、その押し付けがましさ-啓蒙的姿勢に、わたしの場合は、ドドンと醒めてしまう。例えば舞台を観に行って、その登場人物が「愛とは云々」とか「人生とはかんぬん」などと滔々と語り始めると、なんだかこう、退いてしまいませんか。そんな感じ。


それでも新刊が出ると、読んじゃうんだけどw。


「City」
Alessandro Baricco著/Rizzoli版/ISBN:881786563X


おお。この本の邦訳も(とっくに)出ていた。知らなんだ。

草皆伸子訳/白水社/2520円/2002年/ISBN:4560047413


ついでに邦訳が出てるものをあとふたつ。しかしこの3冊中では個人的には「City」が一番著者らしい(=読後にヘンな気持ちになれる)と思う。

海の上のピアニスト(原題:Novecento)
草皆伸子訳/白水社/1260円/1999年/ISBN:4560046700
*舞台用に書かれた戯曲。1990年にジュゼッペ・トルナトーレ監督で映画化。



絹(原題:Seta)
鈴木昭裕訳/白水社/1680円/1997年/ISBN:4560046255