バルタザールの遍歴

途中、海外小説の翻訳かと思って、3回も著者プロフィールを読み直してしまった。文章が下手だからではない(注:必ずしも巷の翻訳文章が下手という意味ではないw)。その逆。1900年代初頭の欧州を舞台にしたその描写が、あまりに自然だからだ。著者はこの小説でデビューをしたのだが、これで「創作前に一度も当地にいたことがない」と言われたら(調べるが)、想像のチカラだけで欧州都市の空気感をここまで細かに伝えることができるのだとしたら(いい意味で)おばけだと思う。かといって、わたしも欧州都市の空気感をさして知らないから、それ自体が「すごくありそうな創作」という可能性もあるわけだが...いずれにせよ。友人Tに再度感謝。
バルタザールの遍歴
佐藤亜紀著/文春文庫/2001年/ASIN:4167647028