被告の足取り

もしわたしが10月27日になにか犯罪を犯していたら、事件当日の犯人の足取り調査を行う警察は大変な苦労を強いられ、しまいには捜査を忘れて笑っただろう。また、その裏付けをとるべく証人全員を警察署に呼んだら、ミラノのしょぼい警察署には入りきらず、同時にその場で飲み会が始まっていただろう。


犯人の足取り。警察の調書はおそらくこんな感じになる。まったく意味のない記述だが、わたしの記憶を整理するため(だけ)に書いてみる。

10月27日午前、被告(邦人・女性・年齢不詳w)は自宅で友人aと会い、午後2時、友人bを加えてチャイナタウンで昼食(足取り1)。午後5時、さらに友人cを加えて旧見本市地区にある喫茶店へ(足取り2)。ここで友人abと別れた被告は、友人cの車でVia Washington付近の飲み屋へ(足取り3)。午後6時、友人cとともにMagenta地区にある飲み屋へ移動(足取り4)、友人dと落ち合う。午後7時半、被告と友人cはPiazza Piemonte付近の飲み屋へ移り(足取り5)、友人efgと1時間ほど酒を飲み、再び友人cの車でPorta Venezia地区へ移動(足取り6)。友人hを交えて歓談後、Piazza Udine付近の友人i宅へ(足取り7)。午前2時、被告と友人cはCorso Ticinese地区(足取り8)で友人jklと待ち合わせ、1時間ほど戸外でビールを飲み、3名と別れてからCadorna駅近辺にある友人d宅へ到着(足取り9)。午前5時、友人cの車で友人d、友人mとともにミラノから40kmの距離にあるベルガモ空港(足取り10)へ。同空港で友人dとmを見送ったあと、28日午前7時、友人cの車にて帰宅。


午前11時から翌朝7時まで、被告が立ち寄った飲み屋6件、友人宅2件、摂取したアルコール量(おそらく)9リットル前後。摂取したコーヒー6杯。会話をした友人13人。車中での爆睡1回。記憶喪失2回。交差点で停車中に後ろから追突される軽い接触事故1回。


在伊5年、こんな1日を送ったのは初めてだ。「軽く1杯」の一言で始まったショートトリップが、ビールのスタンプラリーになってしまった。ひとえに調書中の友人c=このブログにもちょくちょく登場している酔旅の連れ友人Aが、道中、さまざまなきっかけでどんどん機嫌を壊し、トラ化したせいだ。爆睡を叩き起こされ、朝霧の向こうに「ベルガモ・インターナショナル・エアポート」のライトが見えたときには、さすがに世界がぐらついた。ナゼ、ワタシハ、コンナトコロニ。犯罪は...たぶん犯してないはず。