李歐

APPLEibookの充電池が「燃えた」ちうニュースを巨匠に聞くまで知らず、慌てて調べたらばわたしのもリコール対象であった。ニポンからは伊国までは送ってくれないみたいなので、仕方なく伊語のサイトで交換申請をしたのだが...ちゃんと送ってくれるのか...かなり不安。こういうことに疑いを持たずにはいられないのは、伊国に暮らす人の性だといえる。


3日連続で酔っぱらってしまつたので、今日は外出と酒を絶つと決めた。して読了。久しぶりに骨太の小説を読んでしまった。ある時代、ある場所で、その時と場所ならではの風を受け、その結果としてその時と場所をシンボリックに体現するような人物の姿を描いた小説は多々あり、それらはその時代が古ければ「時代小説」、より今日に近ければ「社会派小説」などと呼ばれたりする。


いずれの場合も、この手の小説は、膨大な資料を紐解き、あるいは多くの人の話を聞いたり、いわゆる時代考証というものがなされたうえでできあがるのだろうが、いかに細部が隈なく「勉強されて」いても、つまらないものはつまらない。言葉で説明するのは難しいのだが、もっと肉感的なもの、その時代、その場所のニオイや、そこに生きた登場人物の呼気みたいなものが感じられて初めて、この手の小説は生き生きとするのだとわたしはおもう(たとえそれがまったく架空の人物を描いた丸ごとフィクションであれ)。そして、高村薫の作品はいつも「ずっしり骨太」ながら、いつも「うっとり」とさせられる。


「李歐」
高村薫著/講談社文庫/1999年/ASIN:4062630117