蛍川・泥の川

宮本輝さんというひとは、あらゆることに対してとても優しい視線をもった懐の深い人なのだろうなぁと、彼の著作を読むたびに勝手に想像する。ショッキングなエピソードとか奇をてらった描写とか計算高くズラした視点とかで瞬間芸的に人目をひこうとする制作物が多い昨今、当たり前の風景を奥の奥の奥まで掘り下げていった先に何か光るものをみつけるというような(私感)著者の視点は逆に新鮮で心地よく。


蛍川・泥の川
宮本輝著/新潮社文庫/1994年/ASIN:4101307091