死都ゴモラ-ボスに終身刑

昨日6月19日、ナポリの破棄院(最高裁)で16人のカモリスタ(ナポリの犯罪組織カモッラの構成員)に終身刑の判決が下された。全員が、ナポリ郊外のCasertaを拠点にするカモッラの一派 「Clan dei Casalesi」の構成員で、ロベルト・サヴィアーノが書いた『死都ゴモラ(原題Gomorra)』のまさに"主人公たち"だ。


その勢力と暴力的なやり口で3大クランのひとつといわれ、国際的なネットワークをもつCalanesi組。今回の被告の筆頭はそのコマンド、フランチェスコ・スキアボーネ(通称サンドカン)だ。さらにもうひとりの"頭"のフランチェスコ・ビドニェッティ。第一審から引き継がれた罪状は「マフィア的な犯罪組織の構成」とばっくりしているが、わかっているだけでも前者は10の殺人、後者は6の殺人の指示を出したという。もちろん他にも、放火、武器売買、麻薬売買、恐喝、誘拐、不正取引うんぬんかんぬんと具体的な罪状は挙げきれない。さらに、アントニオ・レビーネとミケーレ・ザガリアというふたりのナンバー2にも終身刑が下されたが、彼らは95年から潜伏を続けていて指名手配中、禁固しようにもその身がない。


昨日の判決の場には、ロベルト・サヴィアーノも姿を見せた。護衛7人に360度をかためられ、防弾ジャケット着用というものものしさであるが、それも仕方ない。彼は当クランからとっくの昔に「死刑宣告」をされている。2ヶ月前に行なわれた本件の公判でも、クラン側の弁護士が読み上げた請願書の中で、彼は、元検事や他の記者や転向者(つまり組織を裏切って捜査側にまわった者)とともに名指しで脅されている。


サヴィアーノは、この判決を「この上なく大きな意味をもつもの」だとコメント。まだ戦いは始まったばかりだが、Casalesi組が勢いを盛り返したまさにそのタイミングで、彼らがなんとしてでも沈黙を守ってやり過ごそうとしていた矢先にこれだけたくさんの終身刑判決が出たことが大きい。そう彼は言う。1998年夏の第一審から10年、「Spartacus裁判」と名付けられた裁判は、こうして幕を閉じた。