のドラッグ

このところ新聞に麻薬ネタが載らない日はない。各所の調査によれば消費者は急増、売買絡みの犯罪も増えていると聞くが、なにより取り締まる側の目が厳しくなったからだろう。今日4日のレプッブリカ紙は、ミラノの最近のトレンドである「ヘロイン市場」を取り上げている。


曰く、注射器を使うあのヘロイン摂取シーンはすでに遠い過去のもの、現在は煙草やマリファナのように「吸う」のだそうだ。しかも、ヘロインそのものの含有率は「10〜15%」に抑えられていて、ブーム初期の現在は顧客獲得の意図もあり、すなわちとってもリーズナブル。誰でも手に取りやすい。だってなにより、そのへんで買えるのだ。


ミラノのこの「ドラッグがそのへんで買える」そして「そのへんで吸ってる」という実態は、さまざまな抜け道はあれど麻薬に対する取り締まりがそれでも厳しいニポンからするとまさに「驚愕モノ」だとおもう。町の各所になんとなく定められた一角では、それこそ道ばたで大麻が吸われているし、スタジアムに行けば臭いは充満、週末のディスコやライブハウスや場末の飲み屋の入り口前での路上喫煙はもはや日常的な風景で、それらのトイレでの白い粉ももはや珍しくなく、のみならず学校に「大麻用の教室」があったりすることもある(あっちこっちで吸うとあっちこっちが臭くなるからだらう)。


建前的には、すべて禁止している伊国である。それらを全世界的にさばいているマフィアという組織を抱えているゆえ、同時に矛盾も抱えなければならない運命を背負う伊国だが、とにかく建前的には禁止。だからして、欧州議会の手前もあり、「何かしているところをみせなきゃ」という政治家たちの都合もあり、近頃は取り締まりに躍起になっている。


しかし、この国ののらりくらりとした行政では、ドラック蔓延のスピードにとてもじゃないが追いつけまい。レプッブリカの紙面から引くと、先日、ミラノの保健所の麻薬部門が行った調査の結果(分母数は記載がないが)、ミラノ在住の18歳〜23歳の男女の60%が、なんらかのかたちでなんらかのドラッグを摂取しているという。ちなみに内訳は、44%が大麻マリファナ)、10%がコカイン、14%がポッパー、5%がエクスタシー。ただし正確には「やってる人の多くは複数のドラッグをやっている」。そしてここにヘロイン市場が大々的に介入すると、さあどうなるかというのが保健所の懸念で「分析して対策を」とのたまうが、その頃にはこのトレンドも広〜く隅々まで普及して新たな「日常」と化しているに違いない。ひとはあたらしいものによわいから。


注:「どこで買えるか教えてください」とか「購入希望」とか「やったことありますか」とかくだらん質問にコメント欄を使うのはやめてくださいね。