魔女の鉄鎚

ベタベタにニポン語な本を読んだ後の翻訳モノというのは、どうしてもニポン語的に今ひとつの気がしてしまう。これは翻訳者のせいばかりではなく、翻訳という行為自体につきまという「どうにもしようがないコト」なんだろっか。だろうね。ニポン語が練られていないぶん、間が悪いというかタメがないというか、どんなにドラマティックな内容が書かれていても、薄い味噌汁のような食感しかない。


しかし。翻訳のせいばかりではなく、おそらくこの小説自体も「軽い」んだろう。「ダヴィンチ・コード」ぽいお話だが、センセーショナルな事件ばかりが並べたてられ、人物の顔が一向に見えてこない小説をわたしは好かない。2時間ドラマだって、もそっと登場人間のキャラはたってるぞ。あと主人公の女性にちっとも共感がわかない。こういう話題を扱っていて、そりゃ問題だろう。
魔女の鉄鎚
ジェーン・S・ヒッチコック/1997年/角川文庫/895円