亦楽しからずや

朋有り遠方より来る。酒瓶を持して待つ。


別に決まったテーマがあるわけではなく誰かと酒を飲む。お茶を飲む。ご飯を食べる。そんなとき、愉しくその場を過ごせる時間のリミットというのがおそらくある。もちろん相手にもよる。相手にとっても同じことだ。そしてもちろん「どのぐらい会ってないか」「どんな姿勢でしゃべるか」などなどの状況にもよる。それでも通常は、計ったことはないが、サシであれば、しゃべるために話題をむりやり探さなくていい、同じ話がぐるぐる巡らない、そのリミットは「2時間」がいいところだろう。居酒屋の回転は正しい。ただ、そんななかでも、だらだらとくだらない話を、ずるずるとまぢめな話を、状況が許す限り時間を忘れて続けられる相手というのがたまにいる。ひっくり返せば、ごくたまにしかいない。怖いことを言っているけれども、おそらくこれは多くの人に共通することだとおもう。


けれども。そういう相手に限って、それだけしゃべっても必ず、じゃあまたねと手を振ったあとに「あ!アレを言うの忘れた!」とか「あ!あの話題を出そうと思っていたのに」という「あ!」が訪れる。で、「追伸」などというタイトルをつけて会った直後に長いメールを打ったりする。そういうことってありませんか。かくも対話というものは、あっちへ飛びこっちへ戻り、計画通りには進まないものだ。


とまれ。そんな友が遠方より来る。やることは飲んでしゃべって食べるだけだが、どんな派手なイベントよりも、楽しからずや。