il caimano

caimanoはカイマンワニである。記憶に間違いがなければ、南米の湿地帯に住んでいて、ナイルのワニと比べると顔に愛嬌があり、緑多き湿原に住んでいるためか、写真やテレビで観ると、頭の上にまるで狸さながら「緑のはっぱ」などのっけてることが多い。しかしんなことはどうでもよく。


il caimanoは「ふたりのベロニカ」のナンニ・モレッティが監督をした「ベルルスコーニ(元首相)」をネタにした映画だ。今年のイタリア総選挙の投票前日に封切りになり話題を呼んだ。その総選挙で連立右派が僅差で負け、ただの大金持ちの企業家(民放3局もACミランも大手書店のMondadoriもetcみんな彼の手の内だ)に戻ったベルルスコーニだが、彼は5年前、どこかの国の○泉元首相と同様に国民から圧倒的な支持を受けて政界へと乗り込んできた(正確に言えば返り咲いた)。そこから先は、どこかの国の○泉元首相と同じ道を辿るわけだが、政界トップにいる間に「やらかしたこと」は、彼のほうが派手だった。なんせ映画になるぐらいだものw。


明日のお金にも窮した映画監督が、周囲からも見放され、妻子も出ていき、ヤケになって無名の女の子が書いた本来ならば「御法度」な脚本を映画化しようと奮闘する。つまり映画の中で映画をとるわけだが、そのテーマが「ベルルスコーニ」なわけだ。もちろん本人の出演はないが、名前はちゃんと実名で出てくる(余談だが、その裏にどんな根回しがあったのか興味深く)。


ベルルスコーニという人を知らないと、観ても「はぁ?」だと思うゆえ、日本で上映されるかどうかは謎だがとりあえず。ちなみに、この映画が封切りされた翌日、レップブリカ紙では政界左右の有力者にあっちこっちインタビューをして「選挙には影響がないと思う」などというどうでもいいコメントをもらっていた。当たり前じゃろが。


il caimano
ナンニ・モレッティ監督/イタリア/2006年
出演:Silvio Orlando,Margherita Buy,Jasmine Trinca,Michele Placido他