の夜

9月から続いていた一連の仕事が終わってようやくダラダラ生活に戻っている。「手帳がしろい」ことのシアワセ。化粧をせずにすむシアワセ。目覚ましをかけずにすむシアワセ。とにかくシアワセなのである。


いやはや久しぶりに「体力的に厳しい」という状況を味わった。仕事のせい、ばかりではない。自分のせい、である。簡単に言うと「仕事が終わってから飲んでた」からだ。長期に渡る-断続的な-仕事期間に入ると、自虐モードが訪れる。簡単に言うと「朝から夜までおもいっきり働いて、深夜0時から飲みにでる」とゆよな無茶を習慣化したくなる。のだ。


それをここ1ヶ月した。アホだ。でもね。働いて働いて1日が終わる。働いて働いて1日が終わる。とゆことだけを続けていると、生活がどんどんモノトーン化していき、顔もどんどん仮面化していき、気持ちもどんどん規格化していく。それがイヤで。スーツ脱いで、敬語脱いで、気遣い脱いで馬鹿騒ぎする。私にとっては一種の「1日の終わりのけじめ」みたいなもんです。で、次の日は絶対起きる。なにがなんでも起きる。2時間睡眠でも起きる。それならいーぢゃんか。と。


ただひとつ問題は、こーゆー生活に入ると、出掛けるメンツが連夜同じになってしまう。今回、ふと気づいたのだが、伊国の人々の懐具合は「平日の夜、何時に人と待ち合わせするか」で、ある程度は計れる気がする。まず、カテゴリーみっつ。


  A. 18時まちあわせ組=ブルジョワジー
  B. 20時まちあわせ組=金持ち
  C. 23時以降まちあわせ組=貧乏人


解説しよう。Aの18時組の行く先は、ミラノの場合は大抵が「アペリティーボ」である。8〜10ユーロぐらいのドリンク代で、食べ物は取り放題のブッフェ。ノリとしては「軽く何かつまみながら1〜2杯飲んで、明日は仕事で早いから9時ぐらいにお開きにして家帰って夕食」という感じ。2杯飲むと一夜で16ユーロ前後の出費になる。ちなみにテーブルに乗る酒は「ビール」もしくは「カクテル」が主流。


ではBの20時組はどこへ行くか。これは「飯食いに」コースだ。行く先にも寄るが、現在のこの物価の高いミラノでご飯を食べるとなると、まあ低く見積もって30ユーロ〜天井知らず。ちなみに30ユーロは現在、4200円相当なり。テーブルに乗る酒はもちろん「ワイン」である。


さて、Cだ。23時以降に待ち合わせをして出来ることはただひとつ。「つまみもなくひたすら飲む」だけである。「夕食はしっかり家で食べて、胃袋に新たな隙間ができたころに液体を詰め込む」わけだ。この手の人種のために深夜まで開いている店は、概してアルコールも安く、テーブルに乗る酒は...といってもテーブルなどがあることすらあまりないのだが「ビール」。ビール一辺倒である。大体1杯が2.5ユーロからどんなに高くても5ユーロ。おとくである。そしてC組には、まともな仕事人というのはほとんどいない。平日夜の0時「から」繰り出すのだから推して知るべし。


私は通常は「C組ときどきA組」的生活をしているが、仕事期間に入ると「C組専属」になる。仕事が終わってから出掛けるとなるとA組やB組のまちあわせには間に合わないからだ。というわけで、A組所属の友人たちには長い間の不義理をしてしまつた。この場を借りてごめんなさい。そしてC組所属の友人がまた増えた。いつまでたっても私のまわりはお金がない奴ばっかりである。