ドッグヴィル--Dogville

長かった165分つかれたビデオでよかった。おととしカンヌ出品作が劇場公開されたとき「みよっかな」とおもってやめてた。「残酷」で「14禁」という謳い文句にビビって。いっぱい血が出たり、目えぐったり、刃物が出てくる映画はダメなんです。そんなに直接的ぢゃなくても「いつ、目をえぐられるのだろう」という雰囲気が漂っているだけでもダメ。緊張して疲れます。ただ、ラース・フォン・トリアー監督の映画をこれまで一度も観たことがなく、一度は観たいと思っていて、近所のビデオ屋にはこれしか入ってなかった。がゆえの選択。


んと。でも。残酷?ぢゃないよね。視覚的にも話的にも。もしかするとラース・フォン・トリアーさんというのは、とても「いいひと」なのぢゃないか。人間のもつ「残酷さ」の本当に恐ろしい部分というのは、もっと過酷かつ過激で、何よりもまず、こんなに「見えやすい」かたちで表面に出てくるもんじゃないとわたしはおもう。誰もが一見して「いぢわる」だとわかってしまえる「いぢわる」は、迷惑ではあるけれどあまり、怖くない。と、いぢわるなわたしはおもう。ただ、閉鎖された社会を描くのにああいうセットを使ったこと、その奇妙なセットがいつのまにか「セットには見えなくなった」こと。それはすばらしい。この意味が知りたい人は観て。


  ドッグヴィル / Dogville
  ラース・フォン・トリアー監督、デンマーク/スゥエーデン/フランス/ノルウェー、2003年
  出演:ニコール・キッドマンポール・ベタニーローレン・バコール


  Resista:Lars Von Trier, 2003, Danimarca/svezia/Francia/Norvegia
  Cast:Nicole Kidman, Harriet Andersson, Lauren Bacall, Paul Bettany ecc