眠られず貼る

家の壁になにかを貼ったり掛けたりすることに、基本的には興味がありません。ポスターとか写真とか絵とか貼ったところで、「ふふふ美しいぜ」などと腰に手を当て悦に入ってそれを眺めるのは大方「貼ったそのとき」だけで、あとは、見やしない。いや正確にいえば視界にはもちろん入るが目には留まらない。つまりは掲げてあるのが、ン十億円のモネでもヌードグラビアでも好きな男の写真でもガムテープでも、さして変わりはないということになります。


ということに、ニワトリを貼りながら思い当たった。眠られないついでに、雑誌から切り抜いたニワトリたちの裏にセロテープをまるくしてくっつけ、あーでもないこーでもないと机の前の壁にレイアウトしていたのだが「わたしはいったいなにをしているのだ」。


ただ。少なくとも貼ってあるものを貼りかえるとき「嗚呼コレを貼ったとき、ワタシはこんなことに興味があったのねぇウフフ」という "自分の来しかた振り返り系" の楽しみかたはできるかもしれない。などと自分を慰めつつ気を取り直して作業続行する。ちなみにニワトリ以前は、やはり雑誌から切り取られた中村俊輔がいた。


イヤイヤしかし。前言撤回。やはりそういう楽しみかたも難しい。だって「これをココに貼るべ」と思いたったときはすでに気持ちは100%その「新しく貼られるもの」のほーにあって、早くそれを貼りたくてうずうずしているわけで「それゆえに剥がされる運命にあるもの」のほうにはもうすでに愛がない。ふと気づけば中村俊輔は、ゴミ箱に、いた。新しいオトコ/オンナができたら、古いオンナ/オトコにゃ用がない。そんな生きかたはしてこなかったはずだが。深く反省。


ニワトリやめた。おとなしく寝る。


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