サプライズ・パーティ

このブログにもちょくちょく登場している友人A(伊男性・無職)がネパールへ旅立つ。3週間の旅でヒマラヤでとーちゃんとトレッキングをするという。壮大かつ優雅なお話である。そんな折、出発を1週間後に控え、当のネパールでは首都カトマンズを中心に現国王の専政に反対する人々が大規模なゼネストを敢行。武力衝突もあり死者や怪我人も出ている。まさにアワワな状況である。


友人Aは「国が閉まって行けなくなること」を心配しているが、私は「国が閉まって帰れなくなること」を心配しろと忠告した。とまれ、行くらしい。てなわけで、そんな友人Aのために、友人Dが音頭をとってわたしたちは「逝ってらっしゃいサプライズ・パーティ」をしてやることにした。ミラノから20kmほど離れたパヴィアという街で、20名前後で夕ご飯を食べるという企画である。


サプライズ・パーティ。すなわち当人はその場に来るまで何も知らされていない。つまり通常は「参加者のうちの誰かが適当な口実をつくり→本人を会場まで呼び寄せ→そこには他の参加者全員が集まっていて→何も知らない本人はアラびっくり→感動→参加者も感動そして満足」とゆーような流れで幸せにコトは進んでいく。進んでいくはずである。進んでいくはずだった。


わたしたちの場合、コトは次のように進んだ。「友人Dが適当な口実をつくり→友人Aを会場まで呼び寄せ→ようとしたのだが→友人Aは忙しい&金がないを連発→頑として動かず→他の参加者はすでに会場で空の皿を前に待ち→友人Aは岩のごとく動かず→友人Dはほとほと困り果て→他の参加者は待って待って待って→友人Aは友人Dのしつこさに激怒→他の参加者は腹をすかせて激怒」。こちらもアワワな状況である。そんななかで、友人Aから私の携帯にいきなりメールが入る。こともあろうに「今、友人Dと近所で飲んでるから出てこい」。


違う、来るのは「お前だ」。
心の中で絶叫する。


まま、それでも仕舞には岩もなんとか動き、2時間遅れで会場に着いた(連行された)友人Aは感動。その感動ぶりに参加者たちもコロリと騙され、和気あいあいと飯を食いつつ、かくして友人Aには墓石につける名札(星形)が贈呈された。大変な思いをしているネパールの方々、本当にごめんなさい。