霧のミラノ

朝4時半。車はパヴィアからミラノへ向かって走っていた。走っているはずだった。というのも辺りは一面まっしろで、本当に見事にまっしろで、何も見えない。ミラノの春の名物、濃霧である。しこたま酔っぱらっていた私たちは最初「ブレア・ウイッチだあ」などとはしゃいでいたのだが、そのうち自分たちがどこにいるのかはもちろん、どの方向に向かって走っているのかもまったくわからなくなった。道を聞こうにも時間が時間だけに歩いている人などいない・・・と思いきや、いた。慌てて車をとめて絶叫する。


「ミラノはどっち?」。


なんとマヌケな質問だ。パヴィアはミラノの近郊の小さな街、通常なら車で20分、小さなパヴィアから大きなミラノへ、つまり方向さえ間違わなければどんな道を通ったってふつうはミラノにゃ着くのだ。武蔵小杉あたりで「東京都はどっち?」と聞いてるよーなもんである。


あまりに真っ白だったので写真を撮った。のだがなにも映らなかった。残念。