暑い。
いやほんとにまったくよ。ここまで暑いと頭も茹だります。たった今も、いい感じに茹だった伊友人から電話がかかってきた。第一声。
「緑色に光るハエって見たことある?」
なんぢゃ。そりゃ。たっぷりの沈黙のあとに「....ない」と応えると、彼はやにわに緑のハエについて説明を始めた。なんでも、動物や鳥類など(もちろん人間含む)が死ぬと、どこからともなくその死体に集まってくるハエで、普通のゴミなどにたかるハエよりも大きく、目も大きく、羽音も大きく、それを見たときの不快感もそれはそれは大きい。らしい。
だから、なんだとゆーの。おねがい、そのはなしは、どこへ、いくの。
しばらく我慢をしたが、結局、わたしは聞いたさ。この暑いのにハエの話など誰が聞きたいものか。友人、のたまう。「いま、家にそのハエが大量発生してて。でもさんざん探しているんだけど死体はどこにもないんだ。ヘンだよねえええ」。
「..... ホウ。そりゃ大変。がんばって。信じれば、いつかきっと探し物は見つかります」。ニッコリ笑って、電話を切ったさ。部屋の温度が、また2度ぐらい、上がった。