警察署で盗まれる

この国が(もう何度目かになりますが)心の底から嫌いになりました。朝6時20分に家を出て、夕方5時50分に家に戻ってきました。その間ずっと、わたしはミラノの中央警察著におりました。


いままで重ねた小さな悪事がバレたわけでも、ひったくりにあったり泥棒に入られたりしたわけでもありません。ただ単に「A4の紙切れ一枚」をもらうために。そのために11時間、薄暗い黄ばんだ大部屋のベンチに座って11時間。ミラノのマルペンサ空港を飛び立って、そろそろ佐渡ケ島が見えてくるかなぁ...とまあ、そんな時間です。


単に「A4の紙切れ一枚」なのですが、これは俗にペルメッソ、日本語で「滞在許可証」というもので、これがないと伊国に異国人が合法的に滞在することはできません。だからまあ大事なモンなわけです。見た目には、そんな有り難みは「カケラも」ありませんが。さておき。


それにしても、どういう頭の構造になっていると、あんなにも非効率な仕事のしかたができるのでしょう。どういう身体の構造になっていると、あんなにもしばしば休憩が必要なのでしょう。どういう国家構造になっていると、あのひとたちが「警察署」という看板を掲げられるのでしょう。そんだけ時間をかけるなら、有り難い書類に貼り付ける証明写真ぐらい、タダシク-シカク に切れよと思うのだが、これが見事に曲がってる。し。


警察が平気で時間を盗む。呆れる気も起こらず、憤りを越えて、怒りを通り越し、疲れも感じなくなったころ、大きな哀しみとともに悟りの境地に至りました。アナタタチ、カミハ、スベテヲ、ミテイルノデス。