年をとって

なにがわるい。あのさほんとにさ勘弁してくださいよ年齢に感傷や憂鬱を感じるのも年齢を揶揄したり侮蔑したりするのも勝手だけど私の目に触れないところでやってくださいよマスな場所でやらないでくださいよそれをテーマに小説なんか書かないでくださいよほんと頼みますよ。そう、いま、すごくキブンワルイんですわ。


「おばさん」という言葉には、いつごろからか知らないが、ある種のマイナスの意味が付け加えられたような気がします。つまり、この言葉は、もともとはそうであったように「ある程度の年齢に至った女性」を表現するために使われるだけではなく、時によっては「女性がある程度の年齢に至ってしまっている」ことを表現する(端的に言えば、それによって揶揄/侮蔑する)ためにも使われる。そして「至ってしまっている」ということは、すなわち「至ることはあまりよろしくないことだ」という前提が、まず、あるわけで。
 一方この「おばさん」という呼称と同じ働きを持つ日本語、このマイナス要素を含まない日本語があるかと考えてみると....今のわたしには思い浮かばない。おそらく、ない、と思う。


伊国語で「ある程度の年齢に至った女性」を一般的に呼ぶときは「Signora」という単語を使います。けれども、ではこの「Signora」を日本語訳しようとするとき、わたしはこれを「おばさん」と訳すことに抵抗を感じる。おそらくそれは「Signora」という単語には、上に書いた”日本で近年になって付け加えられた意味”=揶揄や侮蔑が含まれていないからで、つまり「Signora」を「おばさん」と訳すとき、その部分が「過剰な」気がするわけです。


自分自身が「おばさん」と呼ばれることには抵抗がありません。てゆか、どーでもいい。が、そういう種類の言葉に、要らぬ揶揄なり侮蔑なりを込めてしまうコトが、また、それを許して普及させてしまうコト、すなわち「年をとることがあまりよろしくないことだ」という前提を多くの人がつい共有してしまうといったコトが、なぜゆえにニッポン国では起こり得るのでしょお。とても、気味悪い。と。1冊の日本の小説を読んで思ったのだがよ。しかも売れてるらしいぜこの小説...ぉぃぉぃ。