ちびマリア--madonnina

 ミラノはmadonninaの眼下に見守られて在る。という話を先日聞きました。街のどまんなかにあるドゥオモ(大聖堂)の一番高い尖塔 --高さ108.5m-- の先っちょには、金色の Madonnina すなわち「小さいマリア」の像がついています。そしてミラノでは、50年ほど前までは、この塔よりも高い、正しく言えばこのマリア像より高い建物を建てることは禁じられていたとか。
 さて、月日は過ぎて、この街にも108.5m以上のビルヂングが建つことになりました。そこでヒトビトは何を考えたか・・・。完成したぴかぴかのビルヂングの上に「小さなマリア像」をのせたのですね。2002年に謎の小型セスナが激突した中央駅前のビル上にも、ちゃんと小さなマリアがのってるのだとか。そして今では --正確な数は誰も知らぬらしいが-- 少なくとも120ぐらいの小マリアが、この街を見下ろしているそーです。
 できたてほやほやのビルの、誰からも見えないところに、ちょこらんとマリアをのせる。のせて安心する。この自己満足ぶりと、この辻褄合わせ加減が、なんだかとてもかわいらしい。さて、磯崎新のデザイン画にも、ちゃんとこのマリアは描かれているのでしょっか。そう、昨日のお話の続きでした。