ミラノ再開発!? --tre grattacieli a Milano

 ミラノに超近代的高層ビルが建つらしい。東京都庁 みたいなやつ。それも3本。磯崎新がコンペに勝って、そのうちの1本を手がけるというところまで話は進んでいるので、どうやら本当のことらしい。現在、Fieraと呼ばれる地区にあるどでかい見本市会場が、Rhoという郊外の街に移転するため、その跡地を再開発するという話なのであるが・・・。雑誌「Newton」に載ってたそのプロジェクト完成予想図を見て、わたしはあまりの醜さに唸ってしまった。ああいうものを、この街に立てて、どんな/なんの意味があるのだ?


 先週、パリへ行ってきました。見るものの多い、ロマンチックな、すてきな街ですが(私的通信:そして今回の小旅行もそれはそれはすてきなものだったのですが)、実はわたしはパリを「美しい街」だとおもったことはないのです。だって「ちぐはぐ」なんだもの。オペラ座とかノートルダムとか凱旋門とかいわゆる古い伝統的な建築物と、モンパルナスタワーとか高層ホテルのメリディアンとかルーブルのピラミッドとかいわゆる最先端をいく建築物が、街のあちこちでケンカしている。ひとつひとつを眺めれば、それは美しいのだけれども、トータルで街を眺めたとき、なんだかバランスが悪くて落ち着かない。まま、ツーリストの勝手な言い分ではあるのですが。


 そういう点、伊国はうまいと思います。ミラノにももちろん近代的な建物はあって、街なかに高いビルもないわけじゃないのですが、街全体としてのバランスを壊さないように、在る。そのへんをちゃんと考えて造ってるのか、何も考えないで造ったのにたまたまバランスがとれちゃったのかは知りませんが、私が想像するにおそらく後者で、でもだとしたらそれはそれですごいことだと思うのです。この国で美術をやっている友人はよく言う。「伊国人の美に対する直感はすごい」と。伊国のアート建築デザインが「過去のもの」となって既に40年ばかりが過ぎているけれども、それでもまだそういった分野の中心にこの国があると「誤解され続けている」のは、そのへんに理由があるのかもしれません。


 しかし。3本の高層ビル。テナントは政府の機関や企業らしいですが、大体この国に、そんな大袈裟な場所にオフィスを構えられる企業がいくつあるというのでしょ。伊国らしく途中で計画が頓挫して、あるいはお金がなくなって、プロジェクト自体が飛ぶことを私は祈っている。というか、篠沢教授に100万リラ。