イタリア人の働き方
「バカバカしい」という形容詞を、わたしは褒め言葉として使うことが多い。
「どーでもいいようなことに対して、至ってまぢめに、膨大なエネルギーを注いでいる(ように見える)」という感じがしたとき、私はこの形容詞を使いながら、しあわせに「にほほ」とわらってしまう。たとえば「マーズ・アタック」*1。観た人はわかると思うけれどもこれが本当に心の底からバカバカしい映画で、でもそれゆえについ何度も観てしまう。で、この話はどこに落ちるかというと、伊国という国はバカバカしさで溢れている、と。それゆえに私はこの国を愛するのではないかと、1冊の本を読んで ピキーン と思い当たってしまった、というオチ。
『イタリア人の働き方〜国民全員が社長の国』内田洋子/シルヴィオ・ピエールサンティ
光文社、新書、236頁、777円、2004年
ISBN:433403232X
オビにはこうあります。「好きなことで、楽しく、ゼロから成功をつかむ(後略)」。これを素直に読めば、いわゆるよくある美談成功談もしくはスローガンの類いかと想像しちゃいますが、でもきっとこの本の意図はそうではなく。わたしはこの一文に、次のようなカッコ書きをひっそりつけたい。
「(ハタから見れば大変バカバカしいが)好きなことで、(周囲がバカバカしくなるほど)楽しく、(バカバカしいほどのエネルギーをもって)、ゼロから(バカバカしい)成功をつかむ」
読むと、なんだか知らないがバカバカしいエネルギーが湧いてきて、昨夜、この本を読み終わって夜10:00、いきなり友人を誘い出し、夜の街に繰り出してしまった。そう、仕事で疲れてくすぶっている場合ではないのだ。ここは、あくまで楽しむために人が働く国なのであるから。
*1:ティム・バートン監督/ジャック・ニコルソン主演