雪が降ったので外に出たくなって

と近所に住む友人がやってきた。正しくは「雪が降ったので切なくなって」ということだったようだが、とまれ落ち込んでいる友人のために隠しておいたワインを抜き、飲むだけ飲み、聞くだけ聞き、話すだけ話した。


雪が降り止まないので、私も「外に出たくなって」友人を送った。とても静かなので、私たちは静かに歩いた。そういうところが似ている相手というのはすてきだと思った。


ひとりでの帰り道、もぎゅもぎゅというあの独特の音を久しぶりに聞きながら、高くはげた木々の上に、場所取りをするかのように細く積もった雪に「ほげーきれいだな」と立ち止まる。外界の素敵なことに目や気や耳を奪われていれば、内界の無為なことを考え続けるヒマはない。そういうのはすてきだと思った。


で、帰るなりフィンランドのガイドブックを開いた私は、脆いのかしたたかなのかよくわからない。