ALWAYS 三丁目の夕日

邦画な我が家である。さておき。この映画、ストーリーよりもまず「私が生まれる10年ちょっと前に世界があんなだったこと」に驚いた。私が生まれたときには東京タワーもカラーテレビも冷蔵庫も洗濯機ももちろんすでにあった。まるで何百年も前から存在しているような顔をしてそこにあった。でも、実際はさにあらず。たかだか10数年である。しかし私の記憶にある東京と、この作品中の東京の、あの差はいったいなんなのだ。もっと言えば、この作品中の東京の街もまた、まるで何十年も前から存在しているかのような顔をしていたが、さらに10年前にはそこは焼け野原だったのだ。


「10年」という時間を「たかだか」だと思っていた私の感性は揺らいだ。それがこの映画の最も大きな収穫だった。
ALWAYS 三丁目の夕日
山崎貴監督/2005年/日本
出演:吉岡秀隆堤真一小雪堀北真希薬師丸ひろ子ほか