積年の疑問が解けた日

アルキメデスが風呂に入りながら大発見をしたように、食事をしながら大発見をしてしまった。伊国のパンはなぜまずいか。その答えである。どうでも...よくない。くどいようだが伊国のパンはまずい。まずいまずいと思って5年が経った。しかし、友人A2(伊-雄)と飯を食いながら自分が間違っていたことに気づいた。


なんのことはない、食べ方が違っていたのだ。さて、わたしはサンドイッチに大きな思い入れがあるのだが(こんなことを言うと「わたしも!」と名乗りをあげてきそうな人の顔がいくつか浮かぶがまあ焦らず)、そこで質問。サンドイッチを作ろうと思ったとき、みなさんは野菜入れから何を出してくるか。


レタス。キウリ。タマネギ。トマト。まあ出てくるのはこんなもんだろう。個人的なことだがわたしはキウリを出す。キウリ派。国で言うとこれは英国風なのだろうか、とにかく組み合わせるものがなんであってもわたしはキウリにがんばっていただく。レタス。うん、巷ではこれが一番ポピュラーではなかろうか。タマネギ。タマゴとかツナをぐさぐさにしたときは、微塵にしていれるとおいしいね。さて。トマト。トマトサンドといえば「あしたのジョー」だが、わたしはトマトは使わない。水っぽくてパンがぬらぬらになるからだ。


しかし、ここトマトの国ではサンドイッチもやはりトマトなのである。今まで伊友人がつくったサンドイッチを何度か食べたが、みな迷わずにトマトなのだ。ニポンのモチモチしたパンだとトマトの水分はべちゃべちゃと邪魔者になるが、伊国のパサパサしたパンにはこれが調度いい湿り気を与えてくれる。いわゆるソース感覚。そうやって考えてみると、伊国では、パンにバターだけ塗って食している人を見かけない。ここでは、パンは(トマト入りの!)サンドイッチにするもんであり、パスタのソースを染み込ませるもんであり、ギトギトのお肉と一緒に口に突っ込むもんであり、つまり、どろどろした何かと共に食べるものなのだ。だからカサカサでよい。パサパサで正しい。


などとパンごときのために熱くなってしまったが、いざ気づいてみれば当たり前。米をカレーで食べる国、米をリゾットにする国のお米がポソポソしてていい。それと全く同じ理屈なのであった。