開店閉店そして開店閉店

この街では、年間、いったいいくつの店がつぶれ、そしていくつの店が新たに開店しているのだろう。そう思わずにはいられないほど、ミラノの通りはちょくちょくその景観を変える。


いまや東京よりロンドンより物件の賃料が高いこの街では、それを払えるだけの稼ぎがない店はあっという間に閉店に追いやられる。とりわけ街の中心を走る目抜き通りは、賃料だって破格だから、有象無象が閉店と開店を繰り返し、結果、資金繰りの規模が大きいチェーン店か、土地を持ってる金満店か、バックに白黒問わず大きな財源がある店ばかりが軒を並べることになる。買いものをする側としては、なんだかみんな似たりよったり、非常につまらない傾向だ。また、東京よりもずっと規模の小さな街なれど、だからこの街のタウン情報を常に頭に入れておくのは至難の業。少なくとも1年に2度、この足で歩いて確かめないと把握できない。


レストランも同じこと、いやさらに始末が悪い。ここでは「見た目や店名は変わらないのに経営者だけが変わる」のは日常茶飯事。経営者が変われば、当然、味やメニューの傾向も変わりうる。1年前にものすごくおいしかった店が、1年後にものすごくどーしよーもない店になっていることが大いにありえるのだ。とにかく、店にしろレストランにせよ「ミラノの古いガイドブックはアテにしないほうがいい」とわたしはおもう。


昨日、ミラノ大聖堂からほど近いダンテ通りに、ルイ・ヴィトン系のコスメティック・ショップSEPHORAがオープンした。日本では早々に撤退したとかしないとか。おそらくここでも同じ道を辿るのではないかと思われる。とまれ、昨夜は一般人も入場OKの「オープニング・レセプション」なるものがあり、先述の友人AとMのケータリング会社がそれを請け負い、それならば...と友人K(邦女)を誘い出して「タダ酒」を飲みに行ったわたしである。タダ酒はあぶない。3時間でグラス7杯のシャンパンを摂取、かくして今日もまた二日酔い。女ふたりで摂取したシャンパンがSEPHORAの閉店を早めないことを。祈る。