ミラノをあるく

地図好きです。歩き好きです。ふたつの好きを合体させて「ミラノの地図を広げて歩いた道をみどりいろに塗る」というひとりあそびにまた凝っています。うう、言葉にするととつても暗い。いーのだ、暗くとも。


「方向感覚の有無」というのは先天的なものでしょうか後天的なものでしょうか。つまり、いつまでたってもわたしがミラノの街を間違わずに歩けないのは、生まれつきの能力に問題があるのか、それとも学習能力に問題があるのか。わたしは道を覚えません。なので、ひとに連れて行かれた店などに、ひとりで行こうなどと思いつくと、それはエラいことになります。先日から「2年前の聖アンブロージョの日」に「駅から歩いて見つけたかわいい小径」に辿り着こうと、地下鉄の駅から出発してグルグルと(たぶん)界隈を歩き回っているのだが、一向にみつけられない。けれども、おかげで崩れかけの建物とか、門が閉ざされて荒れ放題の中庭とか、いろいろ興味深いものに出会いました。でも、どこかは聞かないで。おそらく偶然に頼らなければ再会は難しい。


ところでミラノは、他の街と比べると趣のある通りが少ない街だとおもいます。伊国旅行でこの街に来て、失望する人が多いのはおそらくそのせいもあるでしょう。そこでひとつ、たまにはアドバイスらしきものを。もし伊国旅行の最中に「間違って」この街にいらっしゃるようなことがあるならば、ツアーの都合上「どうしても」この街で1泊や2泊しなければならないような事態がおきたらば、そしてまた、あなたが買いものにまったく興味のない人であるならば、とりあえず、大聖堂(Duomo)と中央駅(Stazione Centrale)だけは見ていただき、つまりはナポレオンとムッソリーニの「ばかばかしいまでの権力誇示ぶり」に溜息のひとつなどついていただき--でもこのふたつはすばらしいのですよ悔しいけど--、あとは地下鉄の緑線に乗って「サンタンブロージョ(=S.Ambrogio)駅」で下車していただき、そこから地図を見ずにひたすら細い道、細い道を選んで歩いて/迷って いただくことをおすすめします。ふう。さすればきっと、ここでも少しは伊国らしい異国情緒など味わっていただける。はず。帰路の責任はとりませんがあしからず。